「どもり」の正式名称と、ある営業マンの話。

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世間一般的に「どもり」と呼ばれる症状の正式名称は、吃音症(きつおんしょう)と言います。

英語では Stuttering 。 
 
言葉が円滑に話せない疾病・障害の事で、
「声を発した時に、言葉が連続して発せられる」「一時的に無音状態が続く」といった症状のことを指します。
 
それまで自分の身近に吃音症の人間がいなかったこともあり、詳しく調べる機会はありませんでした。
いざ調べてみると、その症状から治療法に至るまで多岐にわたり、もっと勉強せねばなという思いにかられました。
 
吃音症の詳細についてはまた別の機会に譲り、自分が吃音症を調べるきっかけとなった吃音症の後輩について書きたいと思います。
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筆者の前職について

筆者は以前、販売員などを派遣する人材会社に勤めていました。
 
事業内容の一部を紹介すると、
取引先から販売業務を委託され、様々な店舗で店頭販売をしたり、
代理店として美容・健康器具などを仕入れ、スポーツ施設や温浴施設などでブースを組み販売活動をしたり、などです。

吃音症の営業マンについて

メインで働いている方、主婦、ダブルワークの方や学生さんなど、稼働スタッフもたくさんおり、前述の吃音症の後輩はアルバイトとして入ってきた大学生でした。
本記事中では仮にAクンとします。
 
ちなみに、吃音症は女性よりも男性の方が3,4倍多い傾向があるようです。

Aクンを採用するか否か

男女ともに様々な年代のスタッフが所属している会社でしたが、入社当時(アルバイトとして)のAクンは大学生でした。
面接や最初の販売研修も筆者が担当しましたが、正直最初は、採用するべきか大いに悩みました。
 
というのも、
「人に物を伝える、会話する」という行為において、どうしても吃音の症状がネックになってしまうのではないか、と考えるのは想像に難くないと思います。
販売・営業という職種のため尚更です。
同業他社や近い業種の人事担当の方でも、もし事前に「吃音症」という事がわかれば、面接の前段階で見合わせ、という選択をする方も少なくないのではないでしょうか。

Aクンの応募理由

結論から言うと、上長とも相談してAクンは採用することにしました。
筆者が推した理由もあります。
 
学生時代から吃音の症状に悩んでいたAクンは、
それを克服するために、あえて人前に出てパフォーマンスをする大道芸やブレイクダンスに取り組んでいました。
仕事へ応募してきた理由も上記と同様です。
 
人前に立って話すのが苦手という人も少なくない中、自分の弱点を正直に話してそれを克服しようというのは、なかなか勇気がいる選択だと思います。

Aクンの成長

業務を進めるにあたり、全く支障がなかったと言うと嘘になります。
ですが、それを補い余りある形でAクンは実績を上げていきました。
自分の中で腑に落ちる事、出来る事が増えてくると、どもる機会も減ってくるようです。
 
誰よりも積極的な販売姿勢で臨んでいたAクン。
アルバイトスタッフを経て、社員にもなりました。
上記の通り、実績が上がってくるのと反比例して吃音の症状は減り、社内でも売上はトップレベルに。
代理店営業では、他社のトップ営業マンを抑えて表彰されたこともあります。
 
余談ではありますが、営業や販売の実績は形として目に見えるため、実績が伴わない場合は確かに大変です。
「どうやったら売れるの」と思い悩む人も多いでしょうし、
店頭販売で「お客様の足を止めることが出来ず、接客につなげるまでが一苦労」という経験をされた方も多いのでは。
 
でも裏を返せば、結果がついてくるととても楽しい業種です。
売れる人は、しっかりやるべきことをやっていますし、
売れない人は、やるべきことをやっていなかったり、考え方や行動がずれている、といった具合です。
また、どんなに厳しい条件でも、打開案や改善策を必ずあるものです。

吃音症を克服した有名人など

吃音症を克服した有名人には、
元首相の田中角栄、タレントの丹波哲郎、落語家の三遊亭円歌、声優の柴田秀勝こおろぎさとみ、などがいます。
 
また過去に、吃音症を取り扱った「英国王のスピーチ」という映画を筆者も見たことがあり、その症状との付き合い方、克服することの大変さを垣間見た次第です。
吃音症に限ったことではないですが、特定の疾患と付き合い日常の生活を送るということは、当人でなければその大変さはわからないことでしょう。

最後に

人との出会いは貴重な財産で、前職に在籍時にAくんに教わったことは多いです。
吃音症でも接客・販売業をすることは出来、しかもトップの業績を上げることも出来る。
もちろん、その症状のレベルにもよるかとは思うのですが、臨んでみる姿勢がとても大事だという事を身をもって学びました。
 
乙武洋匡さん著の「五体不満足」という本があります。
これはあくまでも自分の解釈ですが、仕事をはじめ日常を生きていくうえで、やはり五体満足のほうが有利に越したことはないと思います。
 
五体満足である筆者は、より頑張らなければ、今の自分にしか出来ない事をやらねば、もっともっと出来る、と感じた次第です。
 
最後までお読み頂きありがとうございます。
拙文につき、もし吃音症の方ご本人、または関係する方や団体に対して、誤認識や不快にさせる内容があればご指摘下さいませ。

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